
高原の爽やかな風が吹き、豊かな自然に癒やされる静岡県の「伊豆高原」。その閑静な別荘地に、まるでおとぎの世界へと迷い込んだかのような滞在を楽しめるオーベルジュがあります。それは、「小さな森のオーベルジュ 花の森クラリス」(以下、「花の森クラリス」)。
四季の花が咲くガーデンに感動しながら、美食の数々や各部屋に備わった天然温泉露天風呂でまったり。丹念に手入れされた優雅なガーデンで味わう朝食は、起きるのが楽しみになるほど可憐で、フォトジェニックと話題を集めています。そんな、おとぎ話の主人公になった気分で楽しめる「花の森クラリス」での1泊2日の滞在記をお届けします。
アクセス・ガーデン
レンガ造りのアーチをくぐると、そこは別世界

「花の森クラリス」へのアクセスは、JR「伊豆高原駅」よりタクシーで約5分。伊豆高原駅へは東京駅より直通の特急「踊り子号」に乗って約2時間。都心からも気軽に訪れられます。無料駐車場もあるので、車でも安心です。

緑に包まれた伊豆高原の風景を楽しみながら、「花の森クラリス」に到着。特徴的なレンガ造りのアーチに迎えられます。まるで、子どものころに憧れた、絵本に出てくる素敵な洋館の雰囲気そのもの。

一歩足を踏み入れると、そこに広がるのは、「花の森」という言葉の通り、美しいバラをはじめとする花に囲まれた「クラリスガーデン」。2002年に宿がオープンして以降、20年以上の歳月とともに美しく成長を遂げた花々が咲き乱れる、フォトジェニックな空間です。



年中、四季折々の花を楽しめますが、特に5月〜6月の「バラ」の季節は圧巻!ほぼ毎日、1年中スタッフの手で丁寧に手入れされたバラたち。その花開く姿はとても美しく、まさに絶景です。

「クラリスガーデン」は各所にテーブルとチェアが設けられ、思い思いに過ごせるのも特徴。バラを見ながらくつろげるテーブルや、木陰のチェアなど、ガーデンを散策しながらお気に入りの場所を見つけるのがおすすめです。

ガーデンの中には白いチャペルが。あたたかく、ロマンチックな雰囲気から、プロポーズをする人もいるのだそうです。もちろん、誰でも散策途中に訪れられるので、ぜひのぞいてみて。かわいらしいお花をモチーフにした装飾がちりばめられています。
そんなロマンチックな「花の森クラリス」では、1日1組限定でフォトウエディングも行っています。大切な人の誕生日や、記念日での利用もぴったりです。



「クラリスガーデン」を散策してたどり着いたのは、本館1階の「小さな森の雑貨店 zakka Claris」(営業時間:15:00~18:00)。紅茶のティーブック、ウィリアム・モリスの雑貨、イギリスのパブ文化を感じるグラスなど、花の森クラリスの世界観をお土産として持ち帰れるアイテムが並んでいます。
客室
離れプチメゾン「プライベートガーデン付ツインルーム」

客室は本館・新館・離れにある全8室。今回は離れにある「プチメゾン/プライベートガーデンツインルーム」に宿泊しました。ヴィラの前でたわわに咲いていたのはバラ「アンジェラ」。華やかな香りに満ちていて、とても幸せな気持ちになりました。

扉を開ければ、そこはまるでヨーロッパの邸宅。メゾネットタイプのラグジュアリーなプライベートヴィラになっており、1階がリビングルーム、2階がベッドルームという構成です。こちらのお部屋は、2024年冬に改装され、イギリスのデザイナー「ウィリアム・モリス」の壁紙に一新。アンティーク調の家具と共に、かわいらしさとあたたかさを演出しています。

2階はヨーロッパの屋根裏を思わせるベッドルーム。ウィリアム・モリスの壁紙に囲まれるように、セミダブルベッドが2台設置されています。

そして、この客室だけの特別な場所が「プライベートガーデン」。花々に包まれ、小鳥が遊びに来る小さな庭を、心ゆくまで独り占めできます。リピーターも多い、人気No.1のお部屋です。

チェックインをしたら、プライベートガーデンでティータイム。ウェルカムスイーツと紅茶をいただく、ぜいたくな時間を過ごせます。今回は、ホテル手作りのクッキーをいただきました。

そして、なんと「花の森クラリス」は全室温泉の露天風呂付き。「プチメゾン/プライベートガーデンツインルーム」は石造りの露天風呂。プライベートガーデンを眺めながら、チェックアウトまでいつでも好きな時間に、天然温泉を楽しめます。小鳥のさえずりを聞きながら温泉につかって至極の癒やし時間を過ごしましょう。

スイートルーム・離れのお部屋には、露天風呂に加えて、ジェットバスも!今回宿泊した離れのお部屋にはTVも備えられています。ローズの香り漂うバブルバスを楽しんで。

ガーデンで印象的だったバラが室内でも楽しめるかのように、バスアメニティも「バラ」。ローズシャンプー、ローズコンディショナー、ローズボディーソープでバラの香りに癒やされます。


スキンケアはドクターシーラボのメイク落とし・洗顔フォーム・保湿ゲル。男性向けのヘアトニック・ヘアリキッド・アフターシェービングローションも用意されています。手ぶらで訪れても安心です。

ルームウェアはオリジナルガウンパジャマで、ワンピースタイプ。ゆったりとしたロング丈となっていて、着心地の良い肌ざわりです。
本館「DXクイーンルーム」

本館は花々に包まれる、レンガ造りの洋館。2階建てで、2階に客室があります。窓からはクラリスガーデンが見下ろせます。

2024年冬に、こちらの客室も「ウィリアム・モリス」の壁紙へと改装しています。ピンクを基調にしたかわいらしいお部屋に泊まれば、まるで気分はプリンセス。
ディナー
美しい盛り付けに心躍る、フレンチディナー

あたりが暗くなると、クラリスガーデンに灯る暖かな光。ライトアップされ、また昼とは違った幻想的な世界へと切り替わります。

ディナーはレストラン「ル・シータ」で。ライトアップされたガーデンを望む、優雅な雰囲気のフレンチレストランです。ヨーロッパのようなすてきな空間ですが、ドレスコードがないのがうれしいポイント。カジュアルな服装でリラックスしながらいただけます。

こちらの天井にもウィリアム・モリスの壁紙があしらわれています。

夕食のコース内容は日によって変わり、この日のディナーはキラキラと輝くアミューズブーシュ「真鯛の塩昆布和え ジュレ仕立て」から全8品でした。料理は、研究熱心かつ多彩なアイディアを備える、日吉光雄シェフが担当。伝統や基本を守りながらも、新しいエッセンスを加えたフレンチに日々挑戦しています。

オードブルは「花の森クラリス」と名付けられた一品。「サーモンの塩麴焼き・アスパラ生ハム巻き・豚のスパイス焼き」で、美しいクラリスガーデンを表現しています。虹色のソースは目にも鮮やかで、まさに色とりどりの花が咲き誇る「花の森クラリス」ならではの料理でした。

名物料理のひとつが、こだわりのブールブランソースで上品に仕上げた「鮑のポワレ」です。伊豆に来たならば味わいたい新鮮な海の幸を、フレンチの醍醐味といえる、こだわりのソースでいただきます。バターのクリーミーなコクがぷりっぷりの鮑を優しく包みます。



ディナーと一緒に、「ワイン」を合わせるのも至福。赤・白・ロゼ・オレンジなど多種多様なフランスワインを数多く取りそろえています。
ワインが好きな人はワイン4杯付きの「バイ・ザ・グラスプラン」も一押し。相性のいいワインをペアリングしてくれます。もちろん、ノンアルコールも充実しているので、お酒が好きな人も、そうでない人も、一緒に楽しめます。

お口直しのローズのグラニテ(氷菓)を挟み、メインディッシュの肉料理として登場したのは「国産牛フィレ肉のポワレ フォワグラ添え フォンドヴォーソース」。表面はカリッと、中はふわっと仕上がったフォアグラと、牛フィレ肉を一緒に食べると、天にも昇るおいしさでした。

テーブルに運ばれた瞬間に、思わず「かわいい!」と声が漏れてしまったデザート「チーズムースと苺の求肥ロール」。マカロンがあしらわれたフォトジェニックな盛り付けに胸が躍ります。
コースを通して、お味はもちろんかわいらしい盛り付けも印象的。目にも舌にもおいしい、驚きあるフレンチを楽しむことができました。
朝食
自分のお気に入りの場所で、ピクニックを

小鳥の鳴き声とともに、心地よく目覚めた翌朝。楽しみにしていた朝食バスケットが客室に届き、クラリスガーデンへと向かいました。バスケットは持ち運べるようになっていて、自分の好きな場所を見つけてピクニック気分で楽しめます。

パカっとバスケットを開けてみると、入っていたのは彩り豊かな「BLTサンド」、「メイソンジャーサラダ」、「季節のスープ」、「ヨーグルト」など。ドリンクはコーヒー・紅茶・ノンカフェインのアールグレイが選べます。

クラリスガーデンを見ながらシャキシャキのレタスやベーコンが入ったBLTサンドをほおばり、コーヒーを味わうひとときは、まさに非日常。どこか遠い国や、おとぎの世界で朝食を楽しむような、夢見心地な時間を堪能できました。

ピクニックのような朝食、目にも美しいフレンチディナー、別世界に誘われる美しいクラリスガーデン……ほかではできないような体験ができる、「花の森クラリス」。全8室のみの小さな宿なのでゲストも限られていて、ゆったりとした時を過ごせます。次の休日は花々に癒やされる、伊豆高原のオーベルジュに行ってみませんか。
小さな森のオーベルジュ 花の森クラリス
- 住所
- 静岡県伊東市池893-42
- アクセス
- 【電車】伊豆高原駅よりタクシーで約5分
【車】東名高速「厚木」ICより約1時間30分/東名高速「沼津」ICより約1時間30分 - チェックイン
- 15:00 (最終チェックイン:18:00)
- チェックアウト
- 10:00
- 総部屋数
- 8室
取材・撮影・文/小浜みゆ