
近年の歴史的な円安にもかかわらず、ハワイは日本人にとって変わらぬ人気を誇る観光地です。特に年末年始には、航空会社によってはハワイ便が過去最多の予約数を記録するなど、その人気ぶりが改めて証明されました。その魅力は、美しいビーチや温暖な気候、豊かな自然だけでなく、ショッピングやグルメ、そして日本語対応の充実したサービスにもあります。そんなハワイ・ワイキキの最新情報やおすすめホテル、スポットをトラベルジャーナリストの寺田直子さんが紹介します。
トラベルジャーナリスト
寺田 直子
トラベルジャーナリスト。東京生まれ。日本およびオーストラリア・シドニーでの旅行会社勤務を経て、フリーライターとして独立。旅歴約40年、訪れた国は約100カ国。雑誌、Web、新聞などに寄稿するほか、ラジオ出演、講演など多数。山口県観光審議委員2017、青森県の観光アドバイザーを務める。2013年、第13回フランス・ルポルタージュ大賞インターネット部門受賞。JATAツアーグランプリ審査員2018。著書に「ホテルブランド物語」(角川書店)、「ロンドン美食ガイド」(日経BP社 共著)、「泣くために旅に出よう」(実業之日本社)など。現在、東京都・伊豆大島を拠点に執筆業のかたわら、古民家カフェ「Hav Cafe」を運営。2024年10月、島暮らしをつづった『東京、なのに島ぐらし』(東海教育研究所)を出版。

ハワイを代表する観光地といえば、やはりオアフ島ワイキキでしょう。歴史ある名門ホテルや高級リゾートからカジュアルなキッチン付きのコンドミニアムまで、幅広い宿泊施設と数の多さはまさに世界トップクラス。ワイキキ・ビーチ沿いを走るカラカウア大通り沿いにはそんな高層ホテル群が立ち並びます。
ハワイのホテルの客室カテゴリーは実に細かく、ホテルごとの基準も異なります。大きく分けると「海側」、「ダイヤモンドヘッド側」、「(ダイヤモンドヘッド以外の)山側」、「シティ側」に区分されます。さらに海側は目の前に広がる「オーシャンフロント」、正面以外からの眺望となる「オーシャンビュー」、建物の間から海が見える「パーシャルオーシャンビュー」と細かく分かれます。

ハネムーンや記念旅行など大切なハワイ旅行であればぜいたくに「海側」を選んでほしいものですが、2度目以降のワイキキならあえて「山側」か「シティ側」を選んでみてはいかがでしょうか。
おすすめする理由は2つ。まず「夜景が美しい」こと。なだらかな山を背景に温かみのあるオレンジ色のきらめきがそれはロマンチック。2つ目は「客室料金」。人気の「海側」はやはり客室料金が高くなります。「山側」、「シティ側」はそれよりも安く設定されているので、お値ごろさを感じるはず。もちろん、「山側」、「シティ側」もホテルの立地、フロアなどによって異なるのでじっくり選んでください。
なお、「パーシャルオーシャンビュー」は前述したように海の眺望が少し見えるという条件のお部屋。この記事では「海側」ではなく、海も見える「シティ側」ととらえて紹介しています。
アロヒラニ・リゾート・ワイキキ・ビーチ

ワイキキ・ビーチとカラカウア大通りはすぐ目の前ですが、落ち着いた雰囲気が漂うのが「アロヒラニ・リゾート・ワイキキ・ビーチ」。ここはハワイ王国最後にして唯一の女性王だったリリウオカラニ女王ゆかりの場所。アロヒラニとはハワイ語で「王室の光」。女王のビーチサイドコテージにちなんで名付けられました。

高層階・角部屋の「パーシャルオーシャンビュー」は、圧倒的なシティビューの眺望を堪能できるのが魅力。ラナイ(ベランダ)に出ると一部ワイキキ・ビーチと海をのぞむこともできます。

夕暮れから夜へかけて街の灯りがきらめきだす美しさは想像以上。運がよければ山にかかる虹を見ることも。バスタブはなくシャワーのみですが室内はナチュラルな色彩で落ち着きがあります。
- 住所
- 2490 Kalakaua Ave, Honolulu, HI 96815
- 総部屋数
- 839室
ハイアット リージェンシー ワイキキ ビーチ リゾート&スパ

ワイキキ・ビーチを正面にのぞみ、周辺はショッピングセンター、ブティック、レストラン、ABCストアなどが集中する最強ロケーション。40階建てのツインタワーはひときわ目を引きます。

全1,230室にプライベートラナイ(ベランダ)が備わるのが特徴。高層階のワイキキシティビューの客室は昼間なら市街地とコオラウ山脈を一望。夜は高層ビル群の灯りがきらめく夜景が感動的です。
客室の位置によってはダイヤモンドヘッドが見える場合もあります。毎週金曜日の夕方には1階グレートホールでフラダンスやファイヤーナイフダンスなどの無料のカルチャーショーを開催。ウクレレ教室やフラレッスン、レイメイキングなどのゲスト向けの無料カルチャー体験もあり好評です。ゆとりある空間に癒やされる「ナ ホオラ スパ」は滞在中ぜひ体験したいスパメニューが充実。
- 住所
- 2424 Kalakaua Avenue, Honolulu, HI 96815
- 総部屋数
- 1,230室
カ・ライ・ワイキキビーチ, LXRホテルズ&リゾーツ

ハワイの言葉で「安らぎ」、「静かさ」を意味するカ・ライ。旧トランプ・ホテル・ワイキキからヒルトンホテルのラグジュアリーブランド・LXRホテルズ&リゾーツとして2024年2月にリブランド&リオープン。

「スーペリアゲストルーム・シティビュー」はラナイがないタイプとあるタイプがあり、電子レンジや調理器具、食器が備わるタイプもあるので中長期滞在時に便利(一部電子レンジのみの部屋あり)。

窓からは隣接するフォート・デルッシー・ビーチ・パークの緑と周辺の市街ビューが広がります。

そしてシティビューもオーシャンビューも独占するのが「グランド2ベッドルームスイート・オーシャンビュー」。キングベッド1台とクイーンベッド1台、ソファベッド付きと圧巻な客室の広さはワイキキでも群を抜くラグジュアリーさ。プライベートラナイからはワイキキ・ビーチ、カラカウア大通り、市街がパノラマのように広がり感動的。7名まで宿泊できるので家族旅行、グループ旅行、アニバーサリーなどとっておきのハワイ旅行の際におすすめです。
※2025~2026年にかけて改装予定。客室の設備・内装など異なる場合があります。
- 住所
- 223 Saratoga Road, Honolulu, HI 96815
- 総部屋数
- 310室
レストランやショップ選びのキーワードは「サスティナブル」
自然環境の保全、負荷をかけないサスティナブル(持続可能)な旅スタイルは、トレンドというよりはもう「当たり前」となっています。なかでもハワイは官民一体で観光経済と地域コミュニティ、自然&文化のバランスを保つためのプロジェクトを10年以上前から作成・実行。受け入れる地元側だけではなく、観光客にもハワイの文化、環境、暮らしに配慮してもらう「レスポンシブル・ツーリズム」を観光の基盤にし、「思いやり」ある旅の仕方を提案しています。そんなハワイだからこそ、人気のレストランショップ、観光名所にはサスティナブルを掲げた場所が多く、おすすめスポットでもあります。
カフク・ファーム

ワイキキから車で1時間半ほど、のどかなオアフ島北部カフク地区にあるのが「カフク・ファーム」。「ここのフルーツは最高においしいですよ!」と地元の人から何度、聞いたことか。地元でも大絶賛の観光フルーツ農園です。


ファミリー経営でフルーツの栽培から加工、販売まですべて農園で行っている、まさに地産地消スタイル。まずは約1時間半の農園見学ツアーに参加。オーナー自らトラクターを使ったワゴンに見学客を乗せて広大な園内へ。バナナ、マンゴー、カカオ、スターフルーツ、アサイなどそれぞれの生産物の特徴を解説しながら車を降りて、とれたてのフルーツを試食。これには子どもも大人も大喜び。


カフェテリアでは自家栽培のフルーツや野菜を使ったアサイボウルやファームピッツァ、フレッシュジュースなどが味わえます。
- 住所
- 56-800 Kamehameha Hwy Kahuku, Hawaii 96731
- 公式サイト
- Kahuku Farms
コクア・ジェネラル・ストア

世界的に有名なミュージシャンであり、環境保護活動家でもあるハワイ生まれのジャック・ジョンソンさんと妻のキムさんが立ち上げたのが非営利団体「コクア・ハワイ・ファウンデーション Kōkua Hawaiʻi Foundation(KHF)」。「コクア」とは、ハワイ語で「助ける・協力する・援助する」という意味を持ちます。
KHFのミッションは、環境への感謝と理解を深める機会を提供し、生涯にわたって地球を守る存在となること。KHFのプログラムには、「ʻĀINA In Schools」、「3Rs School Program」、「Kōkua Hawaiʻi Foundation Field Trip Grants」、「Kōkua Hawaiʻi Foundation Project Grants」、「Plastic Free Hawaiʻi」があり、農場施設での有機野菜の栽培、学校給食の残飯の堆肥化などの学習プログラムなどを提供。ハワイでの持続可能なライフスタイルを実践し、提唱するため子どもたちや地域コミュニティと協力しています。




同団体が運営するオアフ島北部の有名なサーフスポット・ハレイワにある「コクア・ジェネラル・ストア」では、リサイクル素材を使ったアップサイクル商品、環境への影響を抑えたスキンケア商品、カラフルなハワイアンスタイルの古着などを販売。ユニークな商品はお土産に最適で、観光客として彼らの活動を支援することにつながります。
- 住所
- 66-249 Kamehameha Hwy, Haleʻiwa, HI, 96712
- 公式サイト
- Kokua General Store
プロテア・ゼロ・ウェイスト・ストア

「おしゃれも環境保護もどちらも大切!」。そんな女性オーナーがカイルアで経営する愛らしいセレクトショップが「プロテア・ゼロ・ウェイスト・ストア」。「Zero Waste(ゼロ・ウェイスト) 」とはズバリ、「ゴミをなくす」こと。

ハワイ・パシフィック大学で環境学の学位を取得したオーナーのローリー・マリーニさんは、美容産業などが抱える廃棄物、プラゴミなどの課題解決のため、アップサイクル、リサイクル、天然素材の製品の購入、そしてプラゴミ削減のためのリフィル(量り売り)を推奨。


店内には洗練された商品が並び、ブティックのような雰囲気も魅力。買って支援することが楽しみになるセンスの良さが光ります。地元ハワイの商品も多く、CO2削減に加え地元の生産者、企業への支援にもつなげています。
- 住所
- 35 Kainehe Street 102 Kailua, HI 96734
- 公式サイト
- Protea Zero Waste
カパハレ

オアフ島産カリフラワーやナス、カウアイ島のチキン、ハワイ島のビーフなど、ハワイ各島の生産者からフレッシュな食材を仕入れ、その素材の良さを仕上げたオリジナルメニューが地元で定評あるレストランが「カパハレ」。

地元ホノルル生まれの若きシェフ、ケアカ・リーさんは料理学校卒業後、ニューヨークのミシュラン三つ星レストランなどで修業。ハワイに戻り、カパハレを開業。ハワイ産の食材に味噌、海苔、ゆず、マサラ(インドのスパイス)、コナコーヒーなどさまざまな調味料を巧みに組み合わせています。


ぜひ、味わってほしいのが「ハク・レイ・ポオ(haku lei po'o)」。レイの冠と名付けられたサラダ仕立ての一品。新鮮な野菜とフルーツはそれぞれの特性を生かした調理が施され、歯ごたえ、風味の違いを味わう楽しさが。リリコイ(パッションフルーツ)バターをのせたコーンブレッドも絶品です。
- 住所
- 4614 Kilauea Avenue Suite #102 Honolulu, Hawaii 96816
- 公式サイト
- KAPAHALE
ハワイのぬくもりと心地よさは空の上から「ハワイアン航空」

創設95年目を迎えたハワイアン航空。ハワイ最大かつ最も歴史の長い航空会社です。日本線は羽田、成田、関西、福岡からホノルルへ直行便を運航。柔らかなハワイアン音楽が流れ、人懐っこい笑顔のCAたちに出迎えられ機内に搭乗した瞬間からハワイにいる気分になるのが何よりも心躍ります。


足元がゆったりした「エクストラ・コンフォート」は機内での時間をより快適にするほか、ハワイのライフスタイルブランド「Noho Home」とコラボしたモダンかつサスティナブルなアメニティキット、優先搭乗などワンランク上のサービスを提供。
日本発の機内食には東京・目黒のモダン・アメリカン・レストラン「Mark’s Tokyo」のオーナー兼エグゼクティブシェフのマーク関田シェフ監修のメニューを提供。メインキャビン(エコノミー)、エクストラ・コンフォートではハワイ名物ロコモコが登場(ハワイ土産の定番ホノルルクッキー付き!)。マウイブリューイングカンパニーのビール「ビキニブロンド」やライオンコーヒーなどとあわせれば一気にハワイにいる気分に盛り上げてくれます。
うれしいのが2024年からスタートした機内でのStarlink社の高速Wi-Fiの無料接続サービスです。メールやネット、動画ストリーミング、ゲームなど、まったくストレスなく楽しめるのは本当にありがたいもの。しかもすべてのクラスで無料提供というのが画期的。ハワイの最新現地情報も機内であれこれ検索しておくことができるので、ぜひ活用してください。

ハワイアン航空は世界トップレベルの航空企業としてSDGsの取り組みはもちろん、ハワイのサスティナブル&レスポンシブル・ツーリズムにも積極的に貢献する企業でもあります。2023年夏にマウイ島西部で発生した壊滅的な山火事の際には災害発生から3日間でおよそ1万7,000人の居場所を失った観光客、住民を避難させると同時にマウイ島に救援隊と救命物資を輸送するフライトを運航するなど、緊急性の高い呼びかけに対応しました。

また、ハワイアン航空の従業員によるボランティアグループTeam Kōkua(チーム・コクア)は以前から多方面で地域の人々のための支援活動を行ってきていましたが、マウイ島の火災の際も寄付品整理、ホノルル空港でマウイから到着する方々のお手伝いやお客様・スタッフのサポートなどを献身的に行いました。
ハワイ語で家族を意味する「オハナ」。ハワイを旅しているとこの言葉をよく耳にします。地元の人も旅人も。すべてはオハナとして温かく受け入れる。ハワイを最も愛し、知り尽くしているエアラインであるという誇りと思いやり。それはアロハなおもてなしとして私たちゲストにも注がれています。
撮影・取材・文/寺田直子 取材協力/ハワイ州観光局、ハワイアン航空